SERVICE 01電子農協基盤構築事業

多目的な総合農協が支える、日本における農村部のインフラ整備をアフリカの総合農村開発に生かす。

背景

国連の予測ではアフリカの人口は2050年には25億人(現在の約2倍)と、農業・食料関連市場の高いポテンシャルを持つ一方で、農家の多くが小規模農家であり、安定した収入を得ることが困難です。その原因は多岐に渡り、生産性、市場へのアクセス、ロジスティクスといったバリューチェーンの要素に加え、金融機関へのアクセスや生活インフラの不足といった様々な要因が絡んでいます。

弊社は、2012年よりモザンビークに現地法人ADM社を設立し、無電化農村で再生可能エネルギー、農業、金融情報サービスを提供してきました。その中で上記の課題に対応すべく、脆弱なインフラでも運用できる農作物取引の電子化と、日本の農業共同組合(JA、以下農協)のような総合型の農協機能の必要性を感じています。2019年、NBFの提供システムを応用した電子化サービスと、日本の包括的な農村開発に大きな役割を果たした農協の経験とを結びつけることで、地域への貢献をより広範囲に広げるべく、フードバリューチェーン参加者のためのアプリケーション「Agroponto」開発を開始しました。

また、2019年に開かれたTICAD7(Tokyo International Conference on African Development)では農業ワーキンググループに参加する約400社の民間企業の声を集約しアフリカ農業イノベーションプラットフォーム構想(Agriculture Innovation Platform in Africa、AIPA)をとりまとめ、ワーキンググループを代表し、NBF代表取締役合田が全体会合で発表しました。その構想は成果文書に反映され、日本がイニシアチブを取り、農業デジタル化基盤を構築、先進農業技術の導入を促進し、農業生産及び食料安全保障を強化していくことが横浜行動宣言2019のなかに明記されました。

サービス内容

弊社は小規模農家の組織化、農家の市場へのアクセスを改善、生計向上のためのシステムとしてAgropontoを開発しています。Agropontoは、努力の見える化、課題の見える化を主軸に据えた、Innovation Platform for Africaを具現化する電子農協基盤です。

このシステムでは農作物の取引を電子化することにより、従来は記録に残らず市場へのアクセスも限られた中で行われていた農作物の商取引を公平で記録に残る形で行うことを可能にします。それにより、仕事の質が市場から評価されることとなり、生産者やその他市場参加者の努力が見える仕組みとなります。また、売買やその過程と流通が見えることにより、バリューチェーンのどこにどのような課題があるのかを可視化できることにより、政府の政策や取引のルール作り、支援機関のプロジェクト計画の参考となり産業全体の生産性、機会の向上に寄与します。

Agropontoは農業作物売買のプラットフォームにとどまりません。戦後の日本では、地方の小規模農家を組織化した農協が農業インフラ、生活インフラ整備に大きな役割を果たしました。日本の農協は農業資材・生活資材の共同購入や農畜産物の共同販売、営農や生活の助言、貯金受け入れ、農業生産や生活改善のための資金の貸し付け、農業生産や生活に必要な共同利用施設の設置、万一に備えた共済等の幅広い事業や活動を行ってきました。取引情報を電子化すると、どこで何が行われたかが、これまでよりも早く、きめ細かに可視化されます。その情報を、農協をモデルに、中央監視型ではないTrustの補完のために用い、農村に住む人々主導による生活の向上に利用できる形で提供していくというコンセプトを持った基盤構築は、日本の経験と技術をもって世界に貢献できるものの一つです。

展開予定

私たちはAgropontoアプリのアジャイル開発を、モザンビークの農村で、農家や地域住民の声を積極的に取り入れながら行っています。アプリでは購入希望者と購買希望者のマッチング機能が実装され、ユーザー同士での取引作物の閲覧や現在の市場価格入手が可能です。現在はモザンビークで実証を行っており、2021年以降はセネガル、南アフリカをはじめ、他のアフリカ農村部にも順次展開する予定です。

Agropontoの活用シーン例

デジタル化農業プラットフォーム概念図